学生時代の研究テーマは「遠方銀河の形態に関する観測的研究」。レーザーテックの要素技術領域とは全く畑違いです。が、研究で身につけたプログラミングや画像処理のスキル、物理学をベースとする論理的思考能力は絶対に社会で生かせると思い、選んだのがレーザーテックでした。入社の決め手は組織が大き過ぎないスケール感。業務が分業化・細分化された大企業とは異なり、レーザーテックでは製品の企画段階から開発の幅広いプロセスに参加することができ、またお客様が実際に製品を使う現場でも、装置の立ち上げやサポートまで手がけられます。様々な業務に携われる点がとても魅力的だと感じました。入社してみるとそれは想像以上で、ソフトウェア担当の私がクリーンルームに入ってサーバーの設置や配線をしたり、装置に搭載するPCを自分の手でセットアップまで行ったり、検査装置の出荷時や納入後にお客様の海外工場まで出張したりすることもあるとは、正直思いもしませんでした。初めて経験することも多く、失敗もありますが、様々な経験ができ、エキサイティングな環境で仕事ができています。
私たちが取り組んでいるのは、世界最先端の半導体マスク・デバイスを検査するための技術領域です。私はマスクのパターン検査装置を開発するチームのソフトウェア担当として、光学、電気、機構などのエンジニアと一緒に企画段階から装置の仕様を検討し、それを実現するためのソフトウェアを設計・開発しています。装置の根幹となる検査機能に関わる仕事で、自分から「こうしたい」という意志や発想が求められます。たとえば、この分野では回路パターンの超微細化が加速度的に進んでおり、それに付随して発生する欠陥やゴミを検出する難易度も上がっています。装置が検出する欠陥の中には、実は欠陥ではない「疑似欠陥」も含まれている場合があります。そこで、疑似欠陥を排除して必要な欠陥画像だけをピックアップするために、アルゴリズムや画像処理方法の開発に挑戦しています。難しい課題に自分が考えた方法で挑戦し解決するのは、エンジニアにとって最高の面白さ。その課題が難しければ難しい程、自分が主導して開発した機能が完成した際には、大きな達成感がありました。
現場でふと思いついたアイデアが、大きな改善や新機能につながるケースも珍しくありません。あるとき、検査装置にエラーが発生し、原因究明のために海外のお客様の工場に赴きました。トラブルの際には原因究明のために装置稼働状況のログを解析しますが、そのログの内容が非常に専門的で解析が難しく、多くの時間を要するものだったのです。装置トラブルにより半導体製造の一時停止を余儀なくされているお客様からは一刻も早い解析とトラブル対応を求められて、正直途方に暮れたことがありました。そこで閃いたのは、お客様でも操作可能な専用のビューアで簡易的にログを見られるようにすれば、装置の専門家でなくても原因究明が可能になり、解決までの時間も短縮されるのではないかということです。そう考えてチームに提案したところ、アイデアが評価されて実際に開発に着手。現在はファーストリリースに向けて、機能改良を重ねています。良いアイデアであれば、上下関係や経験年数に関係なく採用される環境です。
レーザーテックに対するお客様の期待は大きく、「果たして自分に応えることができるのか」と不安に思うこともあります。その支えとなってくれるのがチームのメンバーたちです。チームで様々な課題やお客様の要望に取り組むので、様々なアイデアが飛び交い、手分けをして行う仕事にはスピード感があります。要求された機能に対し、工夫を重ねアプリケーションをつくり、実際に使用していただいてさらに改善を加えるという繰り返しですが、常に新たなチャレンジが求められ、その数だけ達成感を味わうことができます。そして自分が開発に携わった機能をお客様が実際に活用されているのを見ると、「挑戦して良かった」と思うとともに、お客様と自分たちが一体となってつくり上げた装置だという一体感を強く感じられます。これからも専門技術やスキルを向上させ続けながら、将来は自分で開発の方向性を決めていける存在になるのが目標です。